女性のストレス
最近では、働く女性も増え、その形態も、以前のいわば結婚前に短期的に働く(腰掛けとかいわれていました)という形から、結婚や子育てがひと段落してから長期永続パートタイムという形で働く形態に変化してきています。
また出産をしない選択をする女性も増えてきているようです。
それに伴ってライフスタイルも変わり、それに関わる、心理的・社会的・身体的なストレスも変化してきています。
産婦人科心身症外来での報告によると、専業主婦に神経症型が多く、職業婦人には心身症型が多かったとあります。
細かい診断となると、職業婦人には月経痛と続発性無月経(月経がない状態が3か月以上続く場合)で心身症型。
専業主婦には、自律神経失調症で神経型が多いということです。
さらに、うつ病に関しても、受診統計などによると、男性より女性のほうがかかりやすいというデータが出ています。
アメリカの疫学検査では男性12%、女性25%。日本の地域調査でも、男性4%、女性8%と文化圏を問わず女性は男性の2倍の疾患率が出ているようです。
ここまでで、何度かお伝えしましたが、女性の場合、産後うつや更年期うつ病など、一生のライフサイクルの中で、特に性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)分泌が性周期によって、大きく変動する時期があります。
この大きく変動する時期というのは、ホルモンの分泌が低下したときに脳細胞の機能低下が生じやすく、うつ病を発生しやすいのです。
例えば、更年期障害では25%くらいに、うつ病が合併します。
これには同じ視床下部に支配されている、自律神経はホルモンの分泌バランスの乱れに非常に影響されやすいためでもあります。(更年期や外科手術によって急激に卵巣ホルモンが低下したり欠如そたり、分娩後の急激なホルモンの変化などによって、多数の自律神経失調症状が出る)
ホルモンの分泌の変化が引き金となり、自律神経失調症状を発生させています。
自律神経は身体のどこの臓器にも細かく枝分かれして、その活動を支配しているので、その症状の種類もさまざまです。
そして、このさまざまな症状に対処してその変化のストレスに対抗するホルモンを出していくうちに、対抗するホルモンもなくなり、身体のエネルギーは知らない間に枯渇し、ガス欠のような状態(ストレスに抵抗する力がない)になってしまいます。
この状態がうつ病と呼ばれるものです。
このほかにも原因は複数重なっていることが多いですが、このような身体のバランスの変動はストレス(生理的ストレス)になります。
女性の場合、特有のストレスに月経というものがあります。
また現代の日本社会では、戦前・戦後の父権社会が未だ、漠然とではありますが残っており、男性優位の社会の根が少なからずあります。
女性がこうあるべきだという役割の価値観が日本の男性にも女性にも知らず知らず植えつけられており、少なからず見えない性差を生んでいます。
その妥協や我慢を上手く解消出来ればよいのですが、社会の目は男性に比べると女性に厳しいところがあり、ストレス解消ですらしにくい状況下にいる女性もいらっしゃいます。
これらの生理的要因や社会的要因が複雑に絡み合って、様々な症状が身体に現れてきているのです。